なかなか分からない皮革の種類 なめし方法や原料皮の説明-1
皮革の種類やなめし方、原料皮の種類 組み合わせでいろいろで分からないですよね
数回に分けて革とはなんぞや!を説明していきます
1 なめし方
(クロム鞣し革)
産業革命以降、欧米では近代化とともに日用品や軍需品などに「強い素材」を必要としたのか、新しい革のなめし方法が開発されるようになりました。その結果できたのが「クロムなめし」です。
クロムなめしは、最初1858年のドイツのナップ氏により発見されました。この時点では、まだ実験室で行われる段階で、工場生産できるようなものではありませんでしたがその後、1884年にアメリカのシュルツ氏により「二浴法」(2種類の鞣し剤にひたす方法)というクロムなめし方法が発明されました。しかし二浴法は、強酸に溶かした毒性の強い6価クロムを使用する大変危険なものでしたので、その課題を改良し、塩基性硫酸クロムを使って一つのドラムだけでなめす方法「一浴法」が、1893年アメリカのデニーズ氏により発明され、この大発明によってクロムなめしが世界中に広まった。
クロムなめしで生産された革は、タンニンなめしの革に比べて弾力性があり、柔らか・滑らかで耐熱性(100℃超)や保存性、染色性も高いという特徴があり、加えて1日で大量の革をなめすことが出来るため、製作コストの低減にもつながりました。
当時は、特に強い素材を求められる軍需産業からの需要もあり、クロム鞣しは世界中のタンナーで行われるようになりました。
鞄、袋物革、衣料革、家具用革に多く使われています。
(タンニン鞣し革)
タンニンなめしには、植物の樹皮や幹、葉、実などに含まれるタンニンを使用します。タンニンとは柿やお茶の葉にも含まれるポリフェノールの一種で、様々な分野で活躍しています。皮革の分野では「タンニン」、木材工業の分野では「リグニン」、食品・医薬・化粧品の分野では「タンニン酸」、「カテキン」、「フラボノイド」、「ポリフェノール」と呼ばれています。
カテキンやフラボノイド、ポリフェノールというと聞いた事がある方も多いのではないでしょうか。
植物からとれるタンニンは、タンパク質と作用してゼラチン溶液を沈殿させる性質があります。
この性質が、動物の皮膚を構成するコラーゲン(タンパク質)に作用して「なめし」という変化を発生させています。また鉄と反応して表面に黒い酸化皮膜を作るという特徴もあります。
このような植物から取れるタンニンが革のなめしに有効である事を発見したきっかけは、昔、森の中の水溜りに、動物の死骸が漬かっていたことがあり、肉はすでに腐敗していましたが、皮だけは腐らずに残っていたという現象を発見した事だったと言われています。
それから経験的な革のなめしが行われていましたが、19世紀のイギリスで植物からタンニンの抽出・加工が始まりました。当時はオークからタンニンを抽出していましたが、タンニンの濃度が低く抽出に時間がかかるという問題があったため、よりタンニン分を多く含んだ植物から抽出されるようになりました。これらのタンニン剤を使用して現在のタンニンなめしが行われるようになりました。
タンニンなめしでは皮へのタンニン剤の浸透が遅いため負担をかけずじっくりと漬け込む必要があります。(通常、1ヶ月以上の時間がかかります。)
このようにして作られた革は、くろむ鞣しの革よりも固く、伸びや弾性が少ないという性質があります。しかし、使い込むごとに柔らかくしなやかになり、革本来の風合いを味わうことができることから愛好家の方も多いです。(私もタンニンなめしの革製品を好んで使っています。)
ヌメ革、多指革、馬具用革、ベルト革、家具用革、犬の首輪等に使われています
カービングはこのタンニン鞣し革を使って作品を作ります
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